こんにちは、エソラ漢方薬本舗の河野です。
調理師免許を持つ漢方屋目線で、薬膳についてご紹介します。
薬膳とは
薬膳とは、中医学の考えに基づいた食事のことで、健康的な体作りを促すことを目的としています。
薬膳には美味しくないイメージがあるかもしれませんが、基本は体に合った美味しい食事です。その日の自分の状態に合った食材を摂ることで健康を保ち、精神を安定させ、美容効果も期待ができます。
薬膳の食材について
薬膳には、すべての食べ物に薬膳の効果があるという考えがあります。
よって、栄養豊富な旬の食べ物から薬膳を初めてみましょう!旬の食べ物は、季節に合った薬膳効果を簡単に得ることができますよ。
薬膳食材の効果を知る
食材には、それぞれ薬膳効果があります。それを理解することが薬膳料理にとって重要です。
食材の薬膳効果を理解すると、日常生活で薬膳を取り入れることはそう難しくはありません。
※ 有名なところでは、体を温める効果があるネギ・生姜・大根や、ストレス解消効果がある棗などがあります。
また、冷やす作用と温める作用の食材を調和することも薬膳の基本です。
薬膳食材の陰と陽
東洋医学では、この世にあるものは、すべて「陰」と「陽」に分けられると考えられています。
例えば、
- 太陽(陽)と月(陰)
- 昼(陽)と夜(陰)
- 男性(陽)と女性(陰)
など、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
陰と陽がバランスをとって存在することで調和を保っていますが、同様に薬膳も同じ考えをもっています。
薬膳食材の味
薬膳では、食材の味も重要です。
漢方の色体表には「五味」の考えがあります。食材の味である酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(塩)を指し、それぞれの味に対する症状と働きがあります。
- 酸味:「肝(かん)」に作用し精神の安定作用や慢性の疲れなど
- 苦味:「心(しん)」に作用し動悸や多汗など
- 甘味:「脾(ひ)」に作用し、食欲不振、虚弱体質など
- 辛味:「肺(はい)」に作用し、冷え性、うつ状態など
- 鹹味(塩):「腎(じん)」に作用し、頻尿、膀胱炎など
それぞれの食材は、美味しいだけではなく、味の作用により健康を支えることができます。
例えばこんな薬膳料理
家庭で始めやすい薬膳料理を簡単にご紹介します。どれもスーパーで手に入る食材ですので、初めての薬膳にピッタリですよ。
体を温める薬膳料理なら
生姜と鶏肉のスープ
材料:鶏肉、生姜、長ねぎ
ポイント:生姜と長ねぎの温め効果と鶏肉の栄養で、体を内側から温めます。
黒ゴマきな粉のホットドリンク
材料:黒ゴマペースト、きな粉、牛乳(豆乳)、はちみつ
ポイント:黒ゴマときな粉の組み合わせで血行を促進。冷えに効果的です。
山芋と豚肉の生姜炒め
材料:豚肉、山芋、生姜
ポイント:山芋の粘りと豚肉のタンパク質で滋養強壮!生姜の温め効果も期待できます。
体を冷ます薬膳料理なら
きゅうりと大葉の和物
材料:きゅうり、大葉、レモン汁
ポイント:きゅうりと大葉の清涼感がほてりを和らげます。夏にぜひ試していただきたい一品です。
冷やしトマトと豆腐の梅酢和え
材料:トマト、絹ごし豆腐、梅干し
ポイント:トマトは体の熱を冷ます効果があります。梅の酸味が爽やかさをプラス。
冬瓜と鶏むね肉のあっさり煮
材料:冬瓜、鶏むね肉、生姜
ポイント:冬瓜には「ほてり」を冷ます効果があります。生姜の香りで体を冷やしすぎないのがポイント。
美容が気になる方の薬膳料理なら
鶏むね肉ときくらげのスープ
材料:鶏むね肉、きくらげ、生姜、長ネギ
ポイント:きくらげはコラーゲンを補う効果があり、美肌に最適。鶏むね肉と合わせてタンパク質を補給します。
黒豆とさつまいもの甘煮
材料:黒豆、さつまいも
ポイント:黒豆は血の巡りを良くし、さつまいもは腸内環境を整えて肌荒れを防ぎます。
アボカドとトマトのサラダ
材料:アボカド、トマト
ポイント:アボカドは肌を潤すビタミンEが豊富。トマトのリコピンは抗酸化作用が高いポリフェノールの一種です。
最後に
薬膳料理は、これが効果的!というよりも、季節や食べる人の体調に合わせて作られます。体質や季節に合わせて料理を組み立ててみましょう。
例えば冷え性の人は、温める食材や、冬が旬の食材を選んでみてください。
薬膳料理では、クコや棗、八角などが多く使われています。しかし、スーパーで購入できる野菜・肉・魚・調味料だけでも始めることができますよ。
食材の性質とバランスを組み合わせて、まずは気軽に薬膳料理を作ってみてください!
エソラ漢方薬本舗 河野竜二